後日談

誰かの気配を感じる。
簡単に消せる気配を敢えて消していない気配だ。
俺は閉じていた目を開き、そちらの方へと視線を向ける。
「よぉ、あんたか」
軽く手を上げる俺に向こうも律儀に応えてくれた。
見た目は若く見える男。
多分、実際の年はさほど離れていない、と推測している。
あくまで推測なのだが…。
「珍しいな、今日は一人か」
周囲に普段は彼と共にいる子供達の姿はない。
「どうしてここにいるのか、と言いたそうな顔だな」
俺はそう言ってやや自嘲気味な笑みを浮かべる。
ここは廃棄都市。
エクスキューターの脅威が去ったとは言え、まだまだ危険の多い場所だ。
そんなところに俺は一人、足を踏み入れている。
「あいつが…まだ見つからないんだ」
「ここにいるのか?」
首を振り、俺は座り込んでいた残骸から腰を上げる。
「わからない。
だが、ここにこればあいつに会える気がするんだ」
十六夜…お前は今どこにいる?
何をしている?
あいつの死体は見つかっていない。
生きている確証は無いが、それだけであいつは生きている、と思える気がした。
銃を抜く気配。
「おいでなさったか」
俺も近づきつつある気配に気がつき、アサルトライフルを構える。
「ATが無いと何とも心細いものだな。
だが…あんたがいると心強いぜ」
気配は6つ。
不安や恐れはない。
俺はまだ死ねないし、死ぬ気もない。
やるべき事はまだまだ山積みなのだから…。 
secondrpg/novel/main/001-004.txt · 最終更新: 2014/01/21 18:23 by efif
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